Perfume海外ツアー全史|現地で観た台北・バンコクとワールドツアーの歩み

Column & Report
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「それでは!Perfumeでした、ありがとうございました!」

Perfumeのライブが終わる合図です。この挨拶のあと、3人はステージからはけていきます。

ところが2024年7月13日、バンコクの観客は帰ろうとしませんでした。拍手が鳴り止まず、誰かが歌い出した曲が客席全体に広がっていって、そのまま合唱になっていきました。

そして、はけたはずの3人が、もう一度ステージに戻ってきました。

BANGKOK UOB LIVE会場

筆者はその場にいました。

この記事は、Perfumeの海外公演の歩みをまとめたものです。

2010年のマカオから、2024年のバンコクまで。
どこへ行って、どんなフェスに呼ばれて、そこで何が起きていたのか。
15年分を年代順に整理します。

あわせて、筆者が実際に足を運んだ台北(2019年)とバンコク(2024年)の話も書きます。

日本のアーティストが海外で大きなライブを行うことは、2020年代に入ってから珍しい話ではなくなりました。ただ、Perfumeがそこを歩き始めたのは、もっと前です。

初めて海外のステージに立ったのが2010年。初めての海外ツアーが2012年でした。

  • この記事で書くこと:Perfume海外公演の流れ、現地で見たもの
  • 日付・会場の一覧:ライブアーカイブへ(記事内でリンクします)
  • 映像作品の詳細:ライブ映像作品まとめへ(同上)

  1. 日本のアーティストの海外公演は、いつから当たり前になったのか
    1. 2020年代に入って、風景が変わりました
    2. Perfumeの海外ステージは2010年、海外ツアーは2012年から
    3. この記事で書くこと、書かないこと
  2. すべての始まりは2010年のマカオだった
    1. 2010年11月28日、マカオ
    2. 海外でライブをやろう、と決めた日は別にあります
  3. 呼ばれて、出ていった|世界のフェスとイベント
    1. 2013年6月、6日間で2つの世界から呼ばれました
    2. 2019年、コーチェラ|しかも両週
    3. 2023年、Primavera Sound|一度は行かなかった舞台に
  4. ソールドアウトを重ねた10年|WORLD TOUR 1st〜4th と北米
    1. 1st・2nd・3rd|アジアから、ヨーロッパ、そしてアメリカへ
    2. 映画館と配信で立ち会っていた
    3. 2016年、COSMIC EXPLORER北米公演
    4. 2019年、WORLD TOUR 4th「FUTURE POP」
    5. 海外公演・海外出演の一覧(2010〜2024)
  5. はじめて現地に立った日|2019年3月2日、台北
    1. なぜ台北だったのか
    2. 中国語だけのアナウンスを、台湾のファンが英語に変えて回してくれた
    3. ステージから10メートルで見た、台湾の客席
    4. 帰りの空港で
  6. 5年ぶりのアジア、そして初めてのタイ|2024年7月13日、バンコク
    1. Asia Tour 2024|バンコクはツアーファイナルでした
    2. ライブ前に会場前で起きていたこと
    3. Perfumeがきっかけで日本語を覚えた、という彼のこと
    4. 「それでは、Perfumeでした」のあとに起きたこと
    5. あの日の衣装を、広島でもう一度見ました
    6. 「Perfumeは海外で成功したのか」に、現地で見たものだけで答えます
  7. 映像で追える海外公演と、記憶にしか残っていない海外公演
    1. ① ライブ本編を通しで観られるもの
    2. ② 断片だけ残っているもの
    3. ③ 確認できなかったもの
    4. 映像で観られる作品
  8. まとめ
  9. 関連記事

日本のアーティストの海外公演は、いつから当たり前になったのか

2020年代に入って、風景が変わりました

日本のアーティストが海外でライブをする、というニュースを目にする機会が増えました。アジアだけでなく、北米やヨーロッパでの単独公演やフェス出演も、以前ほど特別な扱いではなくなっています。

音楽配信サービスが国境を意識させなくなったこと、動画で海外のファンが日本の音楽に触れやすくなったこと。理由はいくつも挙げられるでしょうし、ここでその分析をするつもりはありません。

ただ、風景が変わったという実感は、多くの方が共有しているところだと思います。

Perfumeの海外ステージは2010年、海外ツアーは2012年から

そのうえで、年を並べます。

  • 2010年11月 マカオ|Mnet Asian Music Awards
  • 2012年10月 台北・香港・ソウル・シンガポール|WORLD TOUR 1st
  • 2013年6月 ソウル・カンヌ|ULTRA KOREA、カンヌライオンズ
  • 2013年11月 ケルン・ロンドン・パリ|WORLD TOUR 2nd

日本のアーティストが海外で公演することが当たり前になるより前に、Perfumeはもう海外を回っていました。

この記事で書くこと、書かないこと

当サイトには、目的別に3つの入口(記事)があります。

Perfumeの海外ライブの日付と会場を調べたい方は、ライブ出演履歴のページが早いです。
国内外あわせた全公演を年代順に並べてあります。

映像作品の中身を知りたい方は、ライブ映像作品のまとめ記事へ。
収録内容や特典の話はそちらに集約しています。

この記事では、その中間にあるものを書きます。
Perfumeがどこへ行って、そこで何が起きていたか。

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すべての始まりは2010年のマカオだった

「Perfumeの海外進出は2012年のワールドツアーから」

そう整理されることが多いのですが、実際にはその前があります。

2010年11月28日、マカオ

Mnet Asian Music Awards。アジア圏の大きな音楽アワードです。

ここでPerfumeはBest Asian Pop Artistを受賞し、ステージでパフォーマンスも披露しました。Perfumeが海外のステージに立ったのは、これが最初でした。

2010年といえば、国内ではPerfume初の東京ドーム公演があった年です。
ドームの熱がまだ残っているうちに、3人はマカオにいました。

海外でライブをやろう、と決めた日は別にあります

初の海外でのステージがマカオでしたが、「海外でツアーをやろう」と決めたのはいつだったのか。

これは2011年6月、ロサンゼルスだと、メンバー自身がのちに語っています。

きっかけは映画『カーズ2』でした。「ポリリズム」が全世界公開版の挿入歌に採用され、3人はロサンゼルスで行われたワールドプレミアに招待されます。

そのレッドカーペットで、現地の人たちが一生懸命な日本語で「LAでライブをやってほしい」とフェンス越しに訴えてきたそうです。

日本だけで音楽をやっていたら、この人たちには届かない。それは不親切なんじゃないか。そういう気づきがあったのだと、後にあ〜ちゃんが振り返っています。実際、このイベントの直後に3人は、自分たちを知らない世界の人たちに知ってもらいたい、という趣旨のコメントを出しています。

マカオが「立った」日で、ロサンゼルスが「決めた」日。

この2つが揃って、翌2012年からのワールドツアーにつながっていきます。

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呼ばれて、出ていった|世界のフェスとイベント

ツアーは自分たちで組むものです。
一方、呼ばれて行った場所というのもあります。

2013年6月、6日間で2つの世界から呼ばれました

まず6月14日、韓国・ソウル。

ULTRA KOREA 2013。世界各地で開催されているEDM系の大型フェスの韓国版で、会場は蚕室オリンピックスタジアムでした。

このときPerfumeは、曲の間にMCを挟まないノンストップのセットリストを組んで、EDMフェスに集まったダンス好きの観衆を沸かせました。

音楽ナタリーは当時、これをPerfume初の海外フェス出演と報じています(音楽ナタリー・2013年6月15日)。

そして6日後の6月20日、フランス・カンヌ。

カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル。
世界最大級の広告・クリエイティビティの祭典です。音楽フェスではありません。

ここでPerfumeは、日本人歌手として初めてパフォーマンスを披露しました。

このステージで使われた技術的な演出は、同年のWORLD TOUR 2ndへとつながっていきます。広告の世界で見せたものが、そのままライブの武器になったわけです。

このときの様子は、カンヌライオンズ側の公式チャンネルに残っています。

EDMフェスと広告祭。まったく違う2つの世界から、6日間のうちに声がかかった。
2013年6月というのは、そういう月でした。

2019年、コーチェラ|しかも両週

カリフォルニア州インディオで開かれるコーチェラ・フェスティバル。
世界で最も注目される音楽フェスのひとつです。

2019年、Perfumeはここに出演しました。日本人女性アーティストとしては初の出演です。

4月14日のWeek 1と4月21日のWeek 2、両方に出演しています。

このフェスには記録に残っているものがあります。

Week 1の終了後、アメリカの音楽誌Rolling Stoneが選ぶ「コーチェラのベストアクト16組」にPerfumeが選ばれました。全体で約160組が出演したなかからの16組です。

同じリストには、その年のヘッドライナーであるChildish Gambino、Tame Impala、Ariana Grandeといった面々が並んでいます。Billie EilishやWeezerも一緒でした。

Rolling Stone誌はPerfumeのパフォーマンスについて、観客がステージに吸い込まれていくようだった、という趣旨の評を書いています。

このときのステージは、公式YouTubeで1曲だけ観ることができます。

筆者が「日本のグループ」という見え方から完全に切り替わったのは、ここでした。

WORLD TOUR 1stのライブビューイングを観たときは、正直まだ「アジアを回っているんだな」という感覚でした。2ndでヨーロッパへ行くと聞いたときには、ヨーロッパよりアメリカへ先に行ったほうがいいのでは、などと勝手なことを考えていたくらいです。

それが2019年のコーチェラで、本当に世界に向けてやってやった、と思いました。

2023年、Primavera Sound|一度は行かなかった舞台に

スペイン・バルセロナで開かれるPrimavera Sound。
ヨーロッパでも有数の規模を持つフェスです。

2023年6月1日、PerfumeはPARC DEL FÒRUMのCUPRAステージに立ちました。
全9曲。2019年のコーチェラ以来となる、日本国外でのフェス出演でした。
Prime VideoとTwitchで生配信も行われています。

この出演には、前段があります。

Perfumeは前年2022年のPrimavera Soundにも出演が決まっていましたが、これを辞退しています。コロナ禍の状況や世界情勢に鑑みて、という説明でした。

呼ばれていたけれど、行かなかった年がある。そして翌年、あらためて同じ舞台に立ちました。

なお、この年はバルセロナに続いてマドリードでの公演も予定されていましたが、6月8日のマドリード公演は現地の悪天候により中止になっています。

このときのステージも、公式YouTubeで1曲だけ公開されています。

その2日後の6月3日には、ロンドンで約9年ぶりの単独公演「Perfume LIVE 2023 “CODE OF PERFUME”」が開催されています。会場はO2 Shepherd’s Bush Empire。2013年のWORLD TOUR 2ndで、完売により会場を移した先と同じ場所です。

9年ぶりにもかかわらず、チケットは完売。
約2,000人を動員し、全16曲・約2時間の公演になりました。
20時開演でしたが、昼前から長蛇の列ができていたそうです。

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ソールドアウトを重ねた10年|WORLD TOUR 1st〜4th と北米

ここからは、自分たちで組んだツアーの話をまとめます。

1st・2nd・3rd|アジアから、ヨーロッパ、そしてアメリカへ

WORLD TOUR 1st(2012年)は、台北・香港・ソウル・シンガポールのアジア4都市。初日は10月26日、台北のNeo Studioでした。

いきなり欧米へ行くのではなく、まずアジアから。
この石橋を叩いていく感じが、実にPerfumeらしいですね。

WORLD TOUR 2nd(2013年)はケルン・ロンドン・パリ。初のヨーロッパ上陸です。カンヌライオンズで見せた演出が、このツアーでライブに組み込まれました。

ロンドン公演は、チケット発売から2時間ほどで完売。会場をキャパシティが2.5倍のO2 Shepherd’s Bush Empireへ変更して行われました。

WORLD TOUR 3rd(2014年)は台北・シンガポール・ロサンゼルス・ロンドン・ニューヨーク。アジア、ヨーロッパ、そしてアメリカ。3つの大陸を一度のツアーで回っています。

ファイナルとなったニューヨークのHAMMERSTEIN BALLROOMは、キャパシティ3500人。ニューヨークでのワンマンはこれが初めてでしたが、チケットはすぐに完売しました。

2011年にレッドカーペットで「LAでライブをやってほしい」と言われてから3年後、遂に北米への上陸を果たしました。

なお、このツアーと翌2015年のSXSW(アメリカ・テキサスで開かれる音楽とテクノロジーの大型イベント)への出演を追った記録が、ドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume』になっています。

映画館と配信で立ち会っていた

この時期、筆者は現地に行っていません。

行っていたのは映画館です。

WORLD TOUR 1stのシンガポール公演、2ndのロンドン公演、3rdのニューヨーク公演。
これらのライブはライブビューイングで観ています。

そしてもうひとつ、家で観ていたものがあります。

フェスの生中継です。

2015年のSXSWはYouTubeで生中継されていたので、リアルタイムで観ていました。2019年のコーチェラも、2023年のPrimavera SoundもWEB中継があり、これも観ています。

時差があるので、日本は真夜中だったり早朝だったりしましたが、リアルタイムで観たいという思いが強かったです。

現地には行けないけれど、同じ時間を共有したい。

映画館でのライブビューイングと配信。この2つがなかったら、多くのファンにとって海外公演は「後から知るニュース」でしかなかったはずです。スクリーンの向こうで3人が海外の観客の前に立ち、それを地球の反対側で同時に見ることができる。いい時代になったものです笑。

2016年、COSMIC EXPLORER北米公演

ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク。4都市を回りました。

ワールドツアーという名前は付いていませんが、アルバム『COSMIC EXPLORER』を携えての北米ツアーでした。

2019年、WORLD TOUR 4th「FUTURE POP」

上海、台北、そして北米6都市を回りました。

そしてこのツアーが、筆者にとって初めての「現地参戦」になりました。

海外公演・海外出演の一覧(2010〜2024)

ここまでに出てきたものを、年代順にまとめておきます。

出来事都市・国
2010Mnet Asian Music Awards(Best Asian Pop Artist受賞)マカオ
20112011 Asia Song Festival(日本代表として出演)韓国・大邱
2012WORLD TOUR 1st台北/香港/ソウル/シンガポール
2013ULTRA KOREA 2013韓国・ソウル
2013カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルフランス・カンヌ
2013WORLD TOUR 2ndケルン/ロンドン/パリ
2014第9回 KKBOX MUSIC AWARDS(ゲスト出演)台北
2014Perfume FES!! 2014 韓国公演ソウル
2014WORLD TOUR 3rd台北/シンガポール/ロサンゼルス/ロンドン/ニューヨーク
2015SXSW 2015米・オースティン
2016COSMIC EXPLORER 北米公演ロサンゼルス/サンフランシスコ/シカゴ/ニューヨーク
2018超犀利趴 SUPER SLIPPA 9台北
2019WORLD TOUR 4th「FUTURE POP」上海/台北/北米6都市
2019コーチェラ・フェスティバル(Week 1・Week 2)米・インディオ
2023Primavera Sound Barcelonaスペイン・バルセロナ
2023Perfume LIVE 2023 “CODE OF PERFUME”(単独公演)ロンドン
2024Asia Tour “COD3 OF P3RFUM3” ZOZ5香港/上海/台北/バンコク

※日付・会場の詳細はライブ出演履歴のページをご覧ください。
※2023年のPrimavera Soundは、マドリード公演が悪天候により中止となっています。

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はじめて現地に立った日|2019年3月2日、台北

ここからは、筆者が実際に見たライブの話です。

なぜ台北だったのか

いつか海外でPerfumeのライブを観たい。ずっとそう思っていました。

ようやく重い腰を上げたのが2019年でした。決め手は身も蓋もない話で、台湾なら近い。それだけでした。初めての海外参戦として行き易そうだったので選びました。

ただ、この記事を書くために調べ直してみて驚きました。筆者が観た2019年3月2日は、Perfumeにとって5度目の台湾でのステージだったのです。2012年のWORLD TOUR 1st初日、2014年のKKBOX MUSIC AWARDSと WORLD TOUR 3rd、2018年の「超犀利趴 SUPER SLIPPA 9」。

近いからという理由で選んだ街は、Perfumeが何度も戻ってきていた街でした。

台湾大学体育館

中国語だけのアナウンスを、台湾のファンが英語に変えて回してくれた

会場は台湾大学体育館。名前のとおり、体育館でした笑

開演前、入場のために番号での呼び出しがありましたが、当然アナウンスは中国語。筆者にはさっぱり分かりません😂

困っていると、居合わせた台湾のファンの方が英語に変換して周りに声をかけてくれました(優しい!)。誰かに頼まれたわけでもなく、自然にそうしていた感じです。

これ、あとから思うとけっこう大事な場面でした。詳しくは後半で書きます。

ステージから10メートルで見た、台湾の客席

筆者の位置はアリーナ前方、ステージ中央付近。ステージまで10メートル程度という距離でした。初の海外参戦でこの位置は、いま考えても運が良かったと思います。

客席は、ほぼ現地の方でした。

日本から来ていた人も何人か見かけましたが、会場全体で見れば目立たない程度。日本人が現地のファンに混ざっている、という構図でした。

そして、とにかく暑くて熱かった🔥

台湾のファンの熱量で会場の温度が上がっていく、という体感でした。近くにいた現地ファンの盛り上がりも最高で、海外ファンの熱を全身で感じることのできた最高の体験になったのを覚えています。

帰りの空港で

翌日、2019年3月3日の午後。

台北松山空港のロビーで、搭乗手続きまでの時間をタピオカを飲んで潰していました。ライブの余韻に浸りながら、そろそろ日本に帰るのかと思っていたところです。

ふと、周りがざわざわしてきました。

え、まさか。

Perfumeの3人が現れました。

エスカレーターから上がってきて、搭乗口へ向かっていきます。周りにはスタッフの方々もいて、待っていたのか気づいたのか、ファンの方も数十名ほど集まっていました。

登場順は、のっち、かしゆか、あ〜ちゃん。

3人は集まった人たちに軽く手を振っていました。目の前を通っていくとき、あ〜ちゃんとは一瞬、目が合った気がします。気がする、というだけですが。

突然のことに驚いて、ほどよく距離を取りつつ近くまで走り寄って、3人がゲートに消えていくまで見とれていました。

あー、めちゃくちゃラッキーやった。

としばらく感慨にふけっていたのですが、そこでハッと気づきます。

いや、自分も飛行機に乗るんやった。

慌てて3人の後を追う形で搭乗口へ向かいました。

中のロビーに3人の姿はありませんでした。おそらく別室に入られたのだと思います。ただ、出発までの時間にぶらぶらしていると、見覚えのあるPerfumeのスタッフの方を何名かお見かけしました。

もしかして、と思っていたら、搭乗後にそのスタッフの方々も乗ってこられました。

Perfumeの3人と同じ便だったのだと思います。

同じ飛行機で日本へ帰る。その事実だけで、フライトの時間がまるごと夢見心地でした。

いつか海外でPerfumeを観たい、と何年も思い続けて、ようやく重い腰を上げた旅でしたが、その最後にこんなことが起きるとは思っていませんでした。

Perfume掲載「中国時報」

ちなみに、この帰りの飛行機に乗るときに現地紙の「中国時報」を無料でもらいました。
Perfumeの記事と写真が載っていて、これも今でも大事に保管しています。

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5年ぶりのアジア、そして初めてのタイ|2024年7月13日、バンコク

Asia Tour 2024|バンコクはツアーファイナルでした

2024年、Perfumeは5年ぶりとなるアジアツアーを行いました。

ツアー名は「COD3 OF P3RFUM3 ZOZ5」

この記事の前半で触れた2023年ロンドン公演の「CODE OF PERFUME」から発展したツアーです。
同年12月のカウントダウンライブで表記が「COD3 OF P3RFUM3」に変わり、ライブのコンセプトと共にアジアツアーへと引き継がれました。

  • 6月8日 香港
  • 6月29日 上海
  • 7月6日 台北
  • 7月13日 バンコク(ツアーファイナル)

バンコクはこのツアーのファイナルで、タイでは初めてのPerfumeライブでした。会場はUOB LIVE。日本ではライブビューイングも実施されています。

ライブ前に会場前で起きていたこと

会場に着いて、まず驚いたのは現地のファンの動きでした。

有志の方々が手作りのフラッグを用意して、そこに寄せ書きを集めていました。さらに手作りのステッカーを配布していて、筆者も1枚いただきました。

そしてもうひとつ、配られていたものがあります。

『Dream Fighter』の歌詞カードです。

ライブが終わったあと、みんなで歌おう。そういう企画が、開演前の時点ですでに動いていました。

運営が用意したものでなく、誰かが企画して、誰かが作って、来た人に配っている。

言葉が通じなくてもなんとかしよう、ライブを盛り上げようという思いが溢れていました。

タイ・バンコクでのライブ会場

Perfumeがきっかけで日本語を覚えた、という彼のこと

ライブが終わったあと、現地ファンの男性が声を上げました。

みんなで『Dream Fighter』を歌おう、と。

開演前に配られていた、あの歌詞カードの出番です。音頭を取っていたのが彼でした。

彼はライブ中、筆者の近くにいました。話を聞くと、10年近くPerfumeがタイに来るのを待っていたとのこと。そしてPerfumeがきっかけで日本語を勉強し、話せるようになったと言っていました。

Perfumeの海外ライブでは、MCの通訳を客席のファンにお願いする恒例の場面があります。彼はこれにも挙手して全力でアピールしていましたが、やや後方だったこともあって指名されず、本人はものすごく悔しがっていました。

その彼が、『Dream Fighter』の合唱では顔を真っ赤にして声を張り上げていました。

帰り際、筆者は彼に声をかけました。

「お前最高だな。日本にも是非来てや!」

「それでは、Perfumeでした」のあとに起きたこと

時間を少し戻します。

Perfumeのライブは、必ず決まった挨拶で終わります。

「それでは!Perfumeでした、ありがとうございました!」

これが出たらライブは終わりです。長年観てきたファンなら体に染み込んでいる合図で、あとは3人がはけて、客席が明るくなって、みんな帰る。

ところがバンコクは、そうなりませんでした。

3人がはけたあとも拍手が鳴り止まない。そこに『Dream Fighter』の合唱がかぶさって、客席全体に広がっていきました。

そして。

3人が、ステージに戻ってきました。

出てきちゃいました、という趣旨のことを言って、もう一曲やってもいい?と。

本当のサプライズアンコールでした。

披露されたのは、当時の最新曲『The Light』でした。

そして、この場面は公式YouTubeで公開されています。

映像だけ観ると、一見ふつうのライブ映像に見えるかもしれません。

でも、これがそのバンコク公演でのアンコール映像です。

冒頭で聞こえる、悲鳴に近い絶叫。あれは3人が戻ってきた直後だからです。曲中のコールアンドレスポンスの声量も、通常のライブのそれでは無いと思います。

あの夜の熱量が、この1曲にまるごとパッケージされています。

この日のアンコールについて、一緒に現地でライブを観た友人達とライブ後に以下の様な話をして盛り上がりました。

ツアー名は「COD3 OF P3RFUM3」。CODEには掟という意味があります。
締めの挨拶をしたら終わり、というのもPerfumeの掟のひとつでしょう。

その掟を、Perfume自身が破った。

掟の名を冠したツアーの最終公演で、掟破りが起きた。

それを引き出したのは、紛れもなく帰らなかったバンコクのファン達の熱量でした。

あの日の衣装を、広島でもう一度見ました

余談になりますが、このアジアツアーの衣装は、後に広島で開催された衣装展「Perfume COSTUME MUSEUM」で実物を見ることができました。

この衣装展は全国を巡回していましたが、バンコク公演で初披露された衣装が展示されたのは広島会場だけでした。

バンコクで数メートル先にあったものが、手を伸ばせば届く距離に立っている。生地の質感まで見えます。約1年ぶりの再会に、嬉しさが込み上げてきたのを覚えています。

タイ・バンコクライブでの衣装

「Perfumeは海外で成功したのか」に、現地で見たものだけで答えます

この問いを検索する方がいます。

成功したのかどうか、動員数がどうだったのか。そういう評価は筆者にはできません。全ての公演を見たわけでも、数字を持っているわけでもないので。

ただ、2つの街で見たものには共通点がありました。どちらも、現地ファンの方々が自ら動いていたということです。

Perfumeの海外公演には、MCの通訳を客席のファンにお願いする場面があります。2012年の初めてのワールドツアーから続いている手法です。言葉ができる人を客席から探して、マイクを渡す。ステージの側から手を伸ばして、客席に助けてもらう。10年以上やってきたことです。

そして筆者が見たのは、ステージが頼むまでもなく、ファンの側が先に同じことをしているという光景でした。

マイクを向けられたわけでもないのに、困っている人に訳して回る。誰にも呼ばれていないのに、開演前から歌詞カードを配っておく。3人がはけたら、自ら歌い出す。

これが成功と呼べるのかどうかは、読む方の判断でいいと思います。筆者に書けるのは、そこに行ったら、そういうファンの人たちがいたという事実だけです。

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映像で追える海外公演と、記憶にしか残っていない海外公演

ここまで書いてきた海外公演が、映像でどこまで追えるのか。整理すると3つに分かれます。

① ライブ本編を通しで観られるもの

  • WORLD TOUR 1st(2012年アジアツアー)
  • WORLD TOUR 2nd(2013年欧州ツアー)
  • WORLD TOUR 3rd(2014年アジア・欧州・北米ツアー)
  • ロンドン公演2023(Perfume Countdown Live 2023→2024「COD3 OF P3RFUM3」ZOZ5 初回限定盤の特典ディスクに全編収録)

前の3つは単独の映像作品です。ロンドン公演だけは形が違って、国内のカウントダウンライブ作品の特典ディスクに全編と舞台裏が収録されています。15年分の海外公演のうち、丸ごと追体験できるのはこの4つです。

② 断片だけ残っているもの

  • カンヌライオンズ2013|カンヌライオンズ側の公式チャンネル
  • SXSW 2015|映画『WE ARE Perfume』の本編と、初回限定盤の舞台裏映像
  • COSMIC EXPLORER北米2016|同ツアーの映像作品・初回限定盤にダイジェスト
  • WORLD TOUR 4th 2019・コーチェラ2019|ベストアルバム『P Cubed』の特典ディスクに、ツアーのダイジェストとコーチェラのライブ1曲
  • コーチェラ2019・Primavera Sound 2023・バンコク2024|公式YouTubeに1曲ずつ

カンヌが興味深いところです。Perfumeの公式ではなく、招いた側が記録を残しています。

そしてバンコクの1曲は、先ほどのサプライズアンコールそのものです。1曲だけれど、あの夜のいちばん濃い部分が残りました。

③ 確認できなかったもの

2010年のマカオ、2013年のULTRA KOREA、2018年のSUPER SLIPPA。筆者が調べた範囲では、公式の映像を見つけられませんでした。

映像で観られる作品

💿上記リンクのほか、タワーレコードHMV&BOOKS online等でも購入できます。

各作品の収録内容や特典については、映像作品のまとめ記事で詳しく書いています。

なお、ロンドン公演2023「CODE OF PERFUME」の全編は、「Perfume Countdown Live 2023→2024『COD3 OF P3RFUM3』ZOZ5」初回限定盤の特典ディスクにのみ収録されています。配信には含まれていません(2026年8月時点)。ロンドン公演を観たい場合は、初回限定盤を入手する必要があります。

なお同じ作品でも、配信で観られるのは横浜公演の本編です。海外公演の映像ではありませんが、コールドスリープ前のPerfumeのライブを観るならこちらから。

\31日間無料/

⚠️本ページの情報は2026年8月時点のものです。
最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

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まとめ

Perfumeの海外での歩みを、年代順に見てきました。

  • 初の海外ステージは2010年のマカオ。海外ツアーは2012年から
  • 「海外でやろう」と決めたのは2011年のロサンゼルス
  • カンヌ・コーチェラ・Primavera Sound。呼ばれて出ていった場所がある
  • 台北とバンコクの客席で見たのは、自発的に動く現地のファンの姿
  • ライブ本編を通しで観られるのはWT1st・2nd・3rd・ロンドン2023の4つ。断片ならもっとある。ただし客席で起きていたことは映像に残らない

日本のアーティストが世界で公演することが当たり前になるより前に、3人は世界を回っていました。

誰かのために道を作った、という話では無く、ただ先を歩いていた。

その記録の多くは、断片としてしか残っていません。そして現地で起きていたことは、どこにも残りません。台北の暑い体育館も、バンコクで帰らなかったファン達も……。

Perfumeは2026年からコールドスリープに入りました

この記事に出てきた街に、いま3人はいません。

ただ、2023年のロンドンは9年ぶりのライブでした。それでもチケットは完売して、開演の何時間も前から列ができていたそうです。9年待っていた人が、それだけいたということです。

待っている人がいる場所は、たぶんまだいくつもあります。

それでは✋️

⚠️ 記載内容は2026年8月時点の情報です。


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